本日は臨床実習・演習の一環として学生による研究発表会が実施されました。
各班でテーマを決め、春先から準備をしてきた成果を十分に発表できたと思います。
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『膝関節内側側副靭帯損傷の発生機序について』
昼間部1班 板倉基二 佐藤陽介 登坂翔平 花本充代司
[はじめに]
膝関節内側側副靭帯(以下MCL)損傷は、膝関節の外傷の中でも比較的発生頻度が高い。しかし、詳細な発生機序についての報告が少ない。この発表では、MCLの解剖学的特徴、および外力に対する損傷がどのように、どの部位に発生するのかを考察することを目的とした。
[方 法]
各種書籍および、論文から参考になると思われるデータ、論考を抽出した。
[結 果]
MCLは解剖学的には脛骨付着部が脆弱であるといわれているが、実際の損傷では大腿骨付着部での損傷が圧倒的に多かった。また、単独損傷と前十字靭帯(以下ACL)との合併損傷では半月板の損傷が内側・外側で頻度が有為に分かれており、損傷の機序に違いがあることが考えられた。
[考 察]
1)実際に外反力をかけたテストでは、大腿骨内側顆が押し付けられることによって伸長した靱帯組織が脆弱化し、大腿骨付着部近辺に外反強制による損傷が集中するのではないかと考えられた。
2)膝関節伸展位で単純な外反力がかかった状態ではMCL損傷に加えて、MCL深部線維が内上方に牽引力を働かすことにより、MCL深部線維又は内側半月板の合併損傷が高頻度で発生すると考えられた。
3)膝関節軽度屈曲位から外反力と外旋力が同時に働いた状態(カッティング動作など)では、MCLはある程度弛緩していることによりACL損傷の方が発生しやすく、そのうえでより大きな外力がかかった際にMCL損傷及び外側半月板損傷が発生すると考えられた。
[まとめ]
1)肢位の違いにかかわらず、MCLに外反力がかかった場合、MCL線維が大腿骨内顆に押しつけられることが大腿骨内側顆付近での損傷が多い原因となっている。
2)コンタクトスポーツなどで膝関節伸展位で外反力を受けた場合、内側半月板損傷を合併しやすい。
3)カッティング動作など、膝関節軽度屈曲位で外反+外旋を強制され損傷が発生した場合ではMCL損傷+ACL損傷+外側半月板損傷の合併損傷がおきやすい(「不幸の三兆」との違いに留意)。
[文 献]
「スポーツ選手の膝内側側副靭帯単独損傷」萬納寺殻智 他(臨床スポーツ医学 Vol.9 No.3)
「膝関節のバイオメカニクス」 遠山晴一 他
(Orthopaedics 18 1-7)
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『疼痛に対する低周波療法の有効性について』
昼間部2班 伊藤あかね 内間早紀 高嶋剛次 工藤将真
[はじめに]
臨床の現場で多用される低周波療法はどのようなメカニズムで疼痛の軽減を図れるのか、どのようにしたら最も効率良く効果が得れるのかについて興味を持ち研究を行った。
[方 法]
文献より考察を行う。
[結 果]
1. 疼痛について
疼痛とは侵害刺激に反応しAδまたはC線維を通り前・外脊髄視床路を伝い活動電位または神経伝達物質で脳に伝え身体を守ろうとする感覚である。またAδは主に機械刺激に反応するが、ほとんどのC線維は機械的、熱、化学的など全ての侵害刺激に反応するポリモーダル受容器を持つ。また、壊れた細胞や神経自身から発痛物質が放出され、痛みは増強する。特に低周波療法では膠様質に大量に含まれるサブスタンスPが関係する。
2. 内因性オピオイドとは
まだ研究段階ではあるが、内因性オピオイドという物質が脳から放出され麻薬のように働き、鎮痛作用を持つことが確認されている。
3. 低周波療法とは
周波数とは1秒間に出力される振動の数であり、日本では周波数により低周波1000 Hz以下、中周波1001Hz ~10000Hz、 高周波 10001 Hz以上と区別されている。パルス電流(刺激の波を持つ電流)を神経や筋に流し刺激することで、疼痛抑制に関わる様々な生理的反応を引き起こす。その中でも、ゲートコントロール説や内因性オピオイド説は低周波領域で著明にみられる。また、生体の反応には個人差があるため、臨床ではパルス電流の振幅(電圧)、周波数、パルス幅等を律動的に変える装置を使用する。
[考 察]
経皮的に電気刺激を行うことにより、活動電位がC線維を上行性に伝わり脳内より内因性オピオイドを放出する。内因性オピオイドの中でも、低頻度刺激(0-10hz)でβエンドルフィン、高頻度刺激(50-100Hz)ではエンケファリンを放出し、持続性は前者の方が長い。さらに、活動電位が下行性に伝わり中脳水道周囲灰白質などからもβエンドルフィンなどの内因性オピオイドが放出される。そして中脳水道周囲灰白質が刺激されると、活動電位が脊髄に到達し、エンケファリンを放出、脊髄の膠様質のサブスタンスPの放出を抑制する。
[まとめ]
低周波療法において、低頻度刺激(0-10Hz)を使用すると持続時間の長いβエンドルフィンが放出される。これは、鎮痛を目的とした場合に有用であると考えられた。
[文 献]
○神経化学-脳の探求- 西村書店
○ベッドサイドの理学療法 医道の日本社
○雑誌 medical rehabilitation No.8 全日本病院出版会
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『ママさんバレーにおけるアキレス腱断裂(下肢の柔軟性との関係・予防法)』
昼間部3班 内田早紀 小川敬仁 今田ひか里 神守久 結城知子
[はじめに]
中高年のスポーツ活動が活発になりその結果、外傷が増加傾向にある。その中でも代表的なアキレス腱断裂について計測を基に下肢の筋の柔軟性との関係を調べ、予防法を導き出すことを目的とした。
[方 法]
ママさんバレー経験者のうち、アキレス腱断裂7名(8脚)、非断裂7名(20脚)、計14名(28脚)を対象に大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋、ヒラメ筋のタイトネスを調べる為、HBD、SLR、足関節背屈(膝関節伸展位・屈曲位)を行った。それを基に検定を行い文献と比較し、アキレス腱断裂と筋の柔軟性との関係を調べた。
[結 果]
断裂脚はSLR86.9±4.6°、HBD3.4±3.0㎝、足関節背屈膝伸展位58.1±5.3°、膝屈曲位53.1±6.5°
非断裂脚はSLR85.3±15.5°、HBD1.5±2.9㎝、足関節背屈膝伸展位61.3±8.9°、膝屈曲位50.8±8.5°となった。
この結果を基に、t検定を行ったが、明確な有意差は得られなかった。
[考 察]
今回、全項目において2群間に有意差は得られなかった。しかし、大腿四頭筋とヒラメ筋の柔軟性が断裂脚の方が低い傾向にあった。全例レシーブ動作時に受傷しており、大腿四頭筋の柔軟性低下は、レシーブ動作時
に十分な膝関節屈曲動作ができず、またヒラメ筋の柔軟性低下は膝関節屈曲位での足関節背屈角度が減少させるので、レシーブ動作時にアキレス腱にストレスがかかり、断裂しやすいと考えられる。
[まとめ]
今回の結果においては、筋の柔軟性とアキレス腱断裂の関係性はみられなかったが、参考文献には、下腿三頭筋の柔軟性が低下している場合はアキレス腱断裂が発生しやすいと多く報告されている。
本調査の結果も踏まえ、下腿三頭筋だけでなく、大腿四頭筋とヒラメ筋の柔軟性を高めるストレッチがアキレス腱断裂の予防に繋がると考えられる。
[文 献]
・臨床スポーツ医学 vol.24
アスリートのアキレス腱断裂をめぐって
文光堂
・臨床スポーツ医学 vol.16
足関節可動域とアキレス腱断裂の関連についての検討 文光堂
・臨床スポーツ医学 vol.24
アキレス腱断裂予防と対策 文光堂
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『ACL損傷予防プログラムの比較』
昼間部4班 後藤卓也 幡垣裕貴 宮本朗秀 御器谷あすみ 佐々木亮
[はじめに]
ACL損傷はスポーツ選手にとって致命的な外傷の一つである。近年ACL再建術の確立やリハビリテーションの進歩により、受傷前と同じスポーツレベルへ復帰できるようになった。しかし、再建術後復帰までに数ヶ月を要するため、スポーツ選手にとって重篤な外傷であることに変わりはない。近年では、いかにACL損傷を予防するかが課題となっている。そこで、今回私たちは各スポーツのACL損傷発生機序とバイオメカニクスを調べ、現在行われている予防プログラムと比較・検討する事を目的とした。
[方 法]
先行文献により考察を行う。
[結 果]
各スポーツにおけるACL損傷の発生機序を調べたところ着地動作・ストップ動作・カッティング動作における発生が多かった。
1)バイオメカニクス的要因:膝関節軽度屈曲位で外反・内旋強制が組み合わさることで負荷が大きくなり、疲労やリアクション動作が加わることで膝関節外反運動やモーメントが増加する。
2)筋肉的要因:大腿四頭筋・ハムスト筋の体重あたりの筋力が弱いと膝の外反が生じやすい。
3)神経・筋要因:神経・筋コントロールは膝関節の安定性に関与する。フィードバックメカニズムではACL損傷を防ぐには不十分であり体温や筋温の上昇、筋疲労によりその機能が低下する前活動はフィードバックメカニズムの欠陥を補う
機能としてトレーニングに必要である。
予防プログラム:1990年~2006年のプログラムでは筋力・柔軟性・アジリティ・ジャンプ・バランス・動作指導等行われている。
[考 察]
1990年と2003年以降のプログラムはいずれもジャンプトレーニングとその際の動作指導が予防プログラムに含まれている。これはACL損傷が着地時やカッティング時の膝軽度屈曲・外反位という肢位で受傷することから、この肢位を避ける動作をジャンプトレーニングで身につけることが予防に効果的であるからだと考えられる。一方、2000年に発表され予防効果がみられなかった2つのプログラムは、①バランストレーニングのみ、②動作指導を重視していないという事が効果をあげられなかった原因と考えられる。予防効果については、ジャンプと動作指導を組み合わせたプログラムにおいて効果が見られるものがほとんどであった。複数の要素を組み合わせたプログラムがACL損傷発生率を減少させていると考えられた。
[まとめ]
ACL損傷の発生予防プログラムに関して、筋力・柔軟性・ジャンプ・バランスの動作指導など複数の要素を組み合わせたプログラムが有効的であると考えられた。
[文 献]
○カパンディ関節の生理学Ⅱ下肢
医歯薬出版株式会社
○ACL損傷予防プログラムの科学的基礎
有限会社ナップ
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『シンスプリント(過労性脛部痛)と身体的発生要因について』
昼間部5班 渋谷佳身 瀬下真太郎 中井慎也 長谷川隆大
[はじめに]
シンスプリント(過労性脛部痛)は運動量の多いスポーツ選手などに多く見られ比較的身近な疾患であるが、その発生要因には競技特性の他に主として、①足底アーチの低下、②足部過度回内、③足関節背屈可動域制限が複合的に合わさり症状が発生すると多くの文献で報告されている。よって今回、過労性脛部痛と、この3つの発生要因との関係に注目し、調査を行った。
[方 法]
対象は都内K高校野球部50名100肢とし、アンケート調査とアーチ高率、Leg-Heel Angle(LHA)〈荷重・非荷重〉、足関節背屈角度〈膝関節屈曲・伸展〉の測定を行った。なお、過労による脛部疼痛を有したものを過労性脛部痛有とした。
[結 果]
1)アンケート調査から過労性脛部痛の既往がある33肢(陽性群)と無い67肢(対照群)とに分け、対応の無いt検定を行い比較検討した。その結果、全項目において陽性群と対照群との間に有意な差は認められなかった。
2)陽性群の中で、足関節捻挫の既往がある11肢(+’群)と足関節捻挫の既往の無い22肢+対照群67肢、計89肢(-’群)において、LHA非荷重では-’群が4.9±10.6°であるのに対し、+’群では-2.3±11.7°と有意に差を認め、回外足(足部内反)傾向であった(P<0.038)。さらに、LHAにおける非荷重-荷重間角度(以下B’LHA)では-’群が8.2±7.04°であるのに対し、+’群では15.3±9.74°と大きく、ここでも有意に差を認めた(P<0.002)。
[考 察]
過去に足関節捻挫を経験しその不十分なリハビリにより足関節が非荷重時でより内反傾向に陥っている例では、非荷重から荷重に移行する際大きな可動域が必要になる(相対的に回内が大きくなる)。この場合、後脛骨筋を始めとする足部内反・底屈筋に遠心性収縮が大きく加わり過労性脛部痛に繋がっていくのではないかと考えられた。このことは、捻挫のみの既往がある脚(14肢)のB’LHA)が8.6±6.15°と小さいことからも裏付けられ、+’群との比較でも有意な差が認められた(P<0.034)。
[まとめ]
1)今回の調査では、①足底アーチの低下、②足部過度回内、③足関節背屈可動域制限において陽性群、対照群との間に有意な差は認められなかった。
2)捻挫のみの既往がある脚と+’群とでは有意にB’LHA)に差が認められた。
3)足関節捻挫の不十分なリハビリは過労性脛部痛に繋がる可能性が高いことが示唆された。よって、捻挫の既往のある選手に対する後療として腓骨筋強化が過労性脛部痛の発生予防に繋がると考えられた。
[文 献]
・理学療法学.32 2005 シンスプリント症例の足部アライメントについて P160
・臨床スポーツ医学.25 2008 シンスプリント~発症メカニズムとその予防・再発予防~ P272
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『大腿四頭筋の牽引力における疾患の異なる発生部位』
夜間部1班 安達昂気 阿部理恵 有賀健人 飯島大輔 伊藤拓郎
[はじめに]
Osgood-Schlatter病とSinding-Larsen-Johansson病(SLJD)は、共に大腿四頭筋の牽引力で起こるが、なぜ異なる部位で発生するのか気になった為、調べることにした。
10歳代前半の成長期に多く発生するこの疾患は、スポーツ動作(ダッシュ、ストップ、ジャンプ等)での発生が多く、私達の臨床現場でも多い疾患であると思われる。
発生機序や男女比、スポーツとの関連性等を考え、研究を進めていきたいと思います。
[方 法]
発生機序、好発年齢、男女比、スポーツなどの関連性を、文献やパソコン、学校の図書館等を使って、研究を進めていく。
[結 果]
競技性の違いや年齢、性差は特に見られなかった。発生頻度でいうと、5,6倍オスグットが多いのは図で示した様に大腿四頭筋の力のモーメントが脛骨粗面に最も強くかかることと、膝蓋腱脛骨付着部面積が最も小さいため、脛骨粗面へのストレスが強くかかり障害が最も多いことがわかった。

図:膝伸展機構のバイオメカニクス
Q:大腿四頭筋力、Q1:膝蓋大腿関節にかかる分力、Q2:脛骨結節にかかる牽引力、Q3:脛骨を大腿骨に押しつける分力、Q4:膝を伸展させる分力
[考 察]
膝伸展機構は下肢運動の中心的役割となり、スポーツ活動では想像以上のストレスがかかっており、特に脛骨粗面は大腿四頭筋の牽引力が最も強くかかり、付着部の面積も小さいためオスグットになる確率が高いと考えられるが、しかし大腿四頭筋の萎縮や膝蓋骨高位等、先天的な異常が見られる場合は、モーメントの方向が変わり膝蓋骨下端にストレスが加わり、SLJDが発生する場合もあると考えられる。
[まとめ]
競技性、性差、年齢差が考えられると思っていたが、実際には解剖学的、力学的な要因が強かった。
ストレッチや安静で予防が可能なため、管理指導等を行えば未然に防ぐことはできる。
[文 献]
小児期における膝蓋骨下極障害の経時的変化 膝16:井上和彦 他
骨・関節・靭帯4巻10号1991.10
東女医大誌 第63巻 11号
臨床スポーツ医学 Vol.9 No.11
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『アキレス腱断裂 ~競技特徴からみる腓腹筋・ヒラメ筋からのストレス~』
夜間部2班 伊波信次郎 梅村洋美 太田俊一 笠原正男 川上麻里子
[はじめに]
アキレス腱断裂が起こりやすいスポーツの種目特性とその受傷メカニズムから、下腿三頭筋の関わり方を調べる。
[方 法]
先行研究より、アキレス腱断裂者のデータを収集し、競技別に発生頻度を割り出し、頻度の高い競技の特性と発生機序を文献を用いて調べる。下腿三頭筋の構造を解剖学的文献を用い、アキレス腱断裂時の筋の関わり方を腓腹筋とヒラメ筋に分けてより詳しく調べる。
[結 果]
バレーボールでレシーブ動作では、膝関節伸展位で下腿三頭筋を収縮させて跳び出し受傷する。バドミントン、テニスは瞬時の膝伸展と足関節屈曲が要求されるため受傷する。
アキレス腱断裂を起こすメカニズムは次の3通りあるとされている。
・足関節の不意な伸展強制
・屈曲した足関節を急に強く伸展する
・膝関節伸展位で前足部に体重をかけて pushing offする
解剖学的文献から、腓腹筋にはねじれがある事が判明した。アキレス腱浅層部である腓腹筋内側頭と外側頭は踵骨隆起に付着するまでに“ねじれ”を呈する構造になっている。そのため、足関節回内の度合いが強いほど回旋(ねじれ)ストレスは強まり、過回内によりアキレス腱が弓状に内側に引っ張られて彎曲ストレスが強まる。一方、下腿三頭筋の最大筋力を発揮できる肢位は、膝関節伸展位・足関節伸展位である。この肢位では足部が回内しアキレス腱のねじれが最も緊張した状態となり、下腿三頭筋の筋力を最も効率よく足関節の屈曲力として発揮できる。しかし、この時にアキレス腱内では下腿三頭筋の収縮力に対抗する張力が生じており、その限界を超えるほどの収縮力が作用したときに腱の断裂が発生するという結果が得られた。
[考 察]
受傷頻度の高い競技、断裂時の動作、そして筋線維の違いを総合的にみた結果、2関節筋である腓腹筋の関わりが大きいのではないかと思われる。
[まとめ]
発生機序では、膝伸展位で前足部に体重をかけてpushing offする際に最も多く、また、足関節の過回内によるアキレス腱の彎曲ストレスは腓腹筋内側頭にかかる。このことから、過回内の防止や腓腹筋内側頭にかかるストレス軽減が予防に繋がる。
[文 献]
・菅原洋輔・山本利春
「アキレス腱断裂の予防と対策」
・南郷明徳
「競技特性と発症のメカニズム」
・林 光俊・石井 良章
「アキレス腱断裂の保存療法とリハビリ」
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『拘縮がなぜ高齢者に起こりやすいのか』
夜間部3班 木村隆太郎 小泉直也 小枝寿之 小島祐哉 小原健太郎
[はじめに]
高齢者の拘縮は我々の日常診療でよく遭遇することがあるため拘縮を正しく理解し臨床に役立てたいと思い研究することとした。
[方 法]
本校図書館及びインターネットの情報を参考とした。
[結 果]
関節が拘縮したので、生活が障害されるということもありえるが高齢者は生活行為が保 てなくなり、体を動かさなくなったために関節に拘縮が及んだといった場合が多い。その
ため、関節可動域の制限だけでなく、筋萎縮や筋力低下、骨萎縮、局所の栄養障害などを伴うことが多い。具体的には関節の不動により局所循環が障害され、軟部組織の細胞浸潤(好中球などの白血球成分が血管外に滲出すること)を招き、細胞性増殖を引き起こす。浮腫による線維素の析出が発生し、修復過程において線維性増殖を生じた結果、関節包・靭帯・筋組織の柔軟性低下を招く。そして徐々に関節腔内の線維性癒着を生じると言われている。八百板の膝を固定した報告で、30日以内の固定では軟骨・軟部組織像、可動域共に正常に回復したのに対し、40日以上の固定では回復が遅くなり、60日以上では関節内に強い結合組織性癒着が生じ、関節軟骨の崩壊も回復せず、可動域の回復も期待しがたかったとしている。特に高齢者はわずか1日の臥床で、筋力は下し、関節の可動域は縮小するので細心の意が必要である。
[考 察]
これらの結果から、私達は高齢者の拘縮は内的因子より生活環境等の外的因子の影響が大きいと言える。そのため、早期ROM訓練や生活指導を徹底することが拘縮の予防において大切なことだと考える。また、近年バリアフリー志向が強いが、これは必ずしも高齢者にとって良いとは言えず、日々の生活環境を見直す必要がある。
[まとめ]
拘縮に対して適切な治療方法を選択するには、拘縮の基礎知識だけでなく、各関節機能の特徴を熟知し、組織学的な病態生理にも精通していることが必要である。拘縮は単なる関節運動制限としか理解しない柔整師ではいけない。
[文 献]
http://jpc.vis.ne.jp/ORTHO/contracture/contracture.html
Monthly Book Orthopaedics VOL.20
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『五十肩にみられる結帯動作障害についての調査』
夜間部4班 近藤明子 早乙女明 佐野達生 清水安治
[はじめに]
肩周囲炎の一つである五十肩。その原因は未だ特定はされていないが、特徴的な症状として、疼痛と拘縮がある。その一つ、拘縮に注目してみると可動域が減少した肩ではある動作が難しくなる。それが結髪動作と結帯動作。このうちの結帯動作について調べ、障害される部位を特定し、各部位に有効と思われるストレッチを提案する。
[方 法]
1.結帯動作の動作解析
2.障害部位の特定
[結 果]
1.動作解析
手を背部に回し帯を結ぶ動作
伸展・45°外転位での内旋・内転
(Hっとり先生・Hすぬま先生談)
2.障害される部位
<伸展の障害が強い時に原因となる部位>
・臼蓋上腕靭帯の下部
・烏口上腕靭帯の前部
・関節包の前上方
・三角筋前部、大胸筋鎖骨部、烏口腕筋、上腕二頭筋
<45°外転位での内旋の障害が強い時に原因となる部位>
・関節包の前方
・棘下筋、小円筋
<内転の障害が強い時に原因となる部位>
・臼蓋上腕靭帯の上部
・烏口上腕靭帯の前部、後部
・関節包の上方
・棘上筋、三角筋中部
結帯動作の運動方向別最終域における筋の緊張・短縮感を触知し、制限に見合うだけの緊張感があるか確認し、最終域感(エンドフィール)の堅さの割に、筋の緊張感が少ない時には筋より靭帯・関節包の影響が強いと判断する。
[考 察]
障害部位の可動域制限に対するストレッチとして関節包等の軟部組織に対しては筋緊張を誘発しない程度の可動域制限のある線維部の走行に合わせた伸張訓練、筋にはPNFが適しているのではないかと考えた。
[まとめ]
今回の研究で五十肩における病態、成因は幅広い。拘縮に関しても今回調査した結帯動作以外にも数多くの動作が障害される。患者それぞれの障害部位を調べ、それに適したアプローチ法を考え施行していく事が重要だと考える。
[文 献]
筋骨格系のキネシオロジー(医歯薬出版)、整形・災害外科、整形外科vol28(金原出版)、理学療法プラクティス、運動学(医歯薬出版)、IDストレッチング(三輪書店)、Monthly book orthopaedics vol17(全日本病院出版会)
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『足関節内反捻挫の再受傷とメカノレセプター(固有感覚受容器)との関係性』
夜間部5班 庄司秀一 杉嵜功 関口弥生 中鉢光彦
[はじめに]
足関節捻挫の再受傷を繰り返す事を「癖」と呼ぶ人は少なくない。日頃よく耳にする足関節捻挫の「癖」になる要因とは何なのか、更に、今回は発生頻度の高い足関節内反捻挫の再受傷の要因について調べた。
[方 法]
本校図書室の文献考察を主体に、諸先生方の意見を参考に検証した。
[結 果]
Mohammadi氏らの報告によると、急性足関節捻挫後のトレーニングの実施方法について、固有受容器トレーニング群、筋力トレーニング群、装具装着群の3群に分けて、それぞれトレーニングを何も行わなかった対照群と再受傷の発生率を比較したところ、固有受容器トレーニング群のおいてのみ対照群に比べて再発率が減少した。
※固有感覚トレーニングを
毎日15分間12weeksやった結果
・疼痛に差はなし
・腫脹はトレーニング実施群の方が減少傾 向にあったが、12weeks後に差は認められなかった。
捻挫再発や機能的不安定性発生の割合は実施群25%、非実施群54%と有意に効果が認められた。
[考 察]
前距腓靱帯に存在する固有感覚受容器は、その多くが靭帯の付着部に存在する。靱帯損傷は付着部で発生する事が多いことから、靱帯
損傷に伴い固有受容機能が低下すると考えられる。
足関節の機能的不安定性は足関節捻挫を受傷した10%~30%の割合で生じ、その一番の要因として、固有感覚障害の残存が考えられる。メカノレセプターは筋や腱、関節周囲の靱帯や関節包に多く存在し、その機能が低下すると、片脚立位時におけるバランス低下、急激な足関節外返し筋(腓骨筋群)や前脛骨筋の反応時間の遅延、関節位置覚もしくは運動感覚障害が出現する。
これを考えると再受傷しない為には固有感覚のリハビリテーションが重要ではないかと考えられた。
[まとめ]
このような障害などはメカノレセプターが大きく関与し、固有感覚訓練の重要性が多く、その訓練としてバランス練習のみではなく、ストレッチや周囲筋の強化など総合的なプログラムを組むことでメカノレセプターの訓練にもなり、低下した筋の強化にもなり有効的である。
[文 献]
・関節トレーニング 改訂第二版
・足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎
・Sports medicine 2007年No.89 4月号
・Sports medicine 2009年No.112 7月号
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『関節可動域の年令による変化について』
夜間部6班 辻主税 土肥正宏 長岡健一 鍋久保雄太
[はじめに]
膝関節についての関節可動域が年代と共にどの様に変化するかを調査し、その結果を基に変化要因について分析を行う。
[方 法]
20代~70代までの膝に痛みや日常生活に支障が無い女性を対象に、膝の伸展・屈曲可動域、BMI値、週一回以上の定期的運動の有無についての調査を行った。 (N=53)
[結 果]
関節可動域の年代別変化の傾向(図Ⅰ)

運動の有無による関節可動域の差 (図Ⅱ)

肥満度・BMIによる関節可動域変化(図Ⅲ)

BMIが「普通」群での関節域変化(図Ⅳ)

[考 察]
・関節可動域は膝に異常が無い場合でも年代と共に除々に低下する傾向が有る。(図Ⅰ)
・体重が掛る膝に於いては、可動域変化に及ぼす肥満の要素は大きい様である。(図Ⅲ)
・可動域変化は30代と40代の間、60代と70代の間で多少低下が大きい傾向が窺える。
・膝の可動域変化では、BMI値・肥満度1以上及び70代で急激な低下傾向が見られた。
・可動域低下を遅らせる要素として、肥満度の管理、定期的運動の効果もある。(図ⅡⅢ)
・肥満度の要素を取り除いても年齢と共に可動域は低下する傾向は変わらない。(図Ⅳ)
[まとめ]
膝関節における関節可動域は年代と共に低下して行く傾向がある。
[文 献]
・「関節可動域計測法」協同医書出版社
木村 哲彦 著
・「ヴォアラ・膝」 南江堂
小林 晶、鳥巣 岳彦 監修
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『定型的鎖骨骨折の整復固定について』
夜間部7班 根本志保 前田哲也 前野卓也 松岡聖
[はじめに]
鎖骨骨折は骨癒合が良好であり、偽関節例が少ない骨折の一つであるが、同時に整復位の保持が困難で、変形治癒しやすい骨折でもある。その為、固定法や整復法に対する考え方も様々で、特別な整復操作を行わない整形と、整復固定を基本とする柔整では、考え方に大きな違いがあると言える。整復操作を行わなくても、治療の過程に大きな違いはないのか。また、違いがないとすれば、患者に苦痛を与えてまで整復する必要があるのか。文献や諸先生方の意見をもとに、私たちなりの治療法を考える。
[方 法]
文献や諸先生方の意見をもとに考察する。
[結 果]
定型的鎖骨骨折において、整復操作を行わず、バンド固定のみを施し保存療法を行った77症例の治療成績は以下の通り。
・治療成績
骨癒合:96.1%(平均15.3週)
遷延治癒:2.6%
偽関節:3.9%
鎖骨バンドの装着期間(平均7.8週)
中1/3の骨折:8週
中外1/3の骨折:6.1週
※中外1/3の骨折ではすべての症例に
骨癒合が見られた。
[考察]
特別な整復操作を行わず、固定のみの治療でも治療成績は良く、これは有効な治療法といえる。柔整の整復固定も治療成績としては悪くないが、整復時の痛み、また強固な固定は患者にとって大きな負担となる。どちらも再転位や変形治癒の可能性は全くないと言い切ることは出来ないが、患者へ与え得る痛みや日常生活への負担の大きさを考慮すると、特別な整復操作は行わず、鎖骨バンドで固定するこの方法は、有効かつ患者への負担が少ない治療法のひとつと言える。
しかしこれが全ての骨折に当てはまるわけではなく、骨折部位や骨片の状態、患者の社会的立場によっては、整復操作や強固な固定、観血的治療が必要な場合もある。
[まとめ]
先日、都柔接の研修会で定型的鎖骨骨折治療法として、持続牽引法が紹介された。リングや鎖骨バンドを用いて、胸郭を拡大した状態で固定する事により、骨片を良い位置に戻す。特別な整復操作はしないので、患者に苦痛を与えず、整復と固定が無理なくできる方法である。こうした治療法はとても良い方法だが、一番大切なのは、患者へのインフォームドコンセントである。様々な治療法とその可能性について説明し、患者の状態に合った治療法、患者が納得する治療法が一番良い治療法であると考える。
[文 献]
MonthlyBook Orthopaedics 2007.4
MonthlyBook Orthopaedics 2008.9
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『反復性肩関節脱臼における治療法選択の一考察』
夜間部8班 山内雄造 山田貴史 渡邊瞬 土屋英和
[はじめに] 肩が外傷性脱臼を起こした後に、脱臼を繰り返す病態を反復性脱臼という。初回脱臼は前方脱臼が多く、反復性脱臼も同様であり、初回脱臼年齢が低いほど反復性に移行しやすいことが知られている。反復性肩関節脱臼の治療法は、『柔道整復学(理論編)』では、保存による治療法を、『標準整形外科学』では内視鏡による手術的治療を第一としている。このように教科書類においても「保存的療法」と「手術的療法」を取り上げながら、臨床上はどちらの療法を選択すべきかの指標は示されていない。両療法選択の参考となる指針をつくることは、今後、我々が柔道整復業を営む上で、有益な情報となる。
そこで、反復性肩関節脱臼における治療法選択の目安となる項目を列記した手術的療法を勧める際の「参考指標」を作成し、今後の肩関節脱臼整復において治療法選択の目安として役立てる。
[方 法] 文献とジャーナル等の収集、テクストの批判的検討。ブレインストーミング法による指標候補の表出。ディスカッションによる判断項目の選定。判断項目の適正、および実用上の可否に関するチェック。整形外科医師による助言。
[結 果] 共同研究者の意見集約により、以下「反復性肩関節脱臼」における「参考指標」を決定した。なお、「参考指標」はディスカッションの結果、解剖学的項目とその他の項目に大別した。
1. 解剖学的指標
①関節唇に損傷がある(特に前下方)。
*バンカート病変
②関節唇がつく肩甲骨ごと損傷している。
*骨性バンカート病変
③関節(臼蓋)上腕靭帯の損傷(特に中・下の靱帯)
④上腕骨頭後上方の欠損 ⑤関節包の弛緩・伸張
⑥腱板疎部(烏口突起外側におけ棘上筋腱と肩甲下筋腱との間隙)の損傷
2. その他の指標
①患者が自家整復できない。 ②初回脱臼時に、3~6週間、完全に固定したにもかかわらず再脱臼した。 ③6回以上の再脱臼がおこった。
④日常生活において外転、外旋、伸展の姿勢をとることが多い。 ⑤患者の手術志向が強く、保存療法を信頼していない。
[考 察] 手術的療法を勧めるか否かにおける「参考指標」は大別すると解剖学的内容とその他にまたがる指標が必要である。前者にはレントゲン撮影などによる映像が必要であり、柔道整復師が業務範囲内で利用するのは難しいが、後者は柔道整復師の業務範囲で利用できる。
[まとめ] 今回作成した「参考指標」のうち、当該患者に該当するものがあれば、患者に手術療法の選択を視野に入れることを助言でき、インフォームドコンセントを実施できる。だが医師との連携が不可欠である。この「参考指標」はあくまでも一考察であり、確定したものではない。
[文 献]
「スポーツメディスン No.54」、ブックハウス・エイチディ2003.9、
嶋田智明他、「肩関節運動機能障害―何を考え、どう対処するか」、文光堂、2009
S.Brent Brotzman (著), Kevin E. Wilk (著), 薄井 正道 (翻訳), 北川 寛之 (翻訳)、「運動器疾患臨床ガイドブック―診断とリハビリテーションプロトコール」、診断と治療社 、2005
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